2013年、第55回全生研全国大会を京都で開催します

 来年2013年、全生研の第55回全国大会を京都で開催することが正式に決まりました!
 1993年第35回全国大会を京都で開催してから20年。2000名近くの参加者を集めで大会を成功させたその原動力であった京生研。当時の中心メンバーはベテランとして健在。その哲学と知恵に、ここ数年の急成長著しい、新世代の若者のちからをプラスして、全国の実践に誠実に向き合う教職員に希望と勇気をもたらす大会にします。

 
私たちがこの大会のスローガンに掲げるのは、「Kの世界を生きる〜競争から共生へ〜」

です。「K」という文字に私たちは自分たちが教育実践を進めるときに最も大切にしてきたたくさんのことを重ね合わせて来ました。
もっとも重い課題を持つ子を大切にした実践を追求し、彼らと共感・共闘・共生できる世界を追い求める私たちの「不易流行」の精神です。
 
 第35回大会を終えた翌年の1994年度、私たちはそれまでの全国大会に京都から提出された33本のレポートを全て分析・総括しました。そしてそこから課題を抱えた子どもへの「共感・共闘・共生」による個人指導と集団指導の統一というテーマを、初めての本格的な基調提案として打ち出しました。
 
 以来18年間、京生研は、このテーマを実践化する「重い課題を抱えた子どもを軸とする集団づくり」を愚直なまでに追求しつづけてきました。そして、その研究・実践を機関誌『Kの世界』として、これまた愚直に持続してきました(「K」には多様な意味を込めているが、Kadaiを抱えたKodomoとKyoshiとのKyodoの頭文字はその中心である)。めまぐるしい情勢変転の中でも、重い課題を抱えた子どもは常に存在しつづけたし、
少数(意見)の尊重こそが民主主義の要諦だと確信してきたからです。

 子どもたちと教師に対し「非寛容」と排除の傾向が過酷に強化される教育現場では、「Kの世界」の共有を実践の軸に据え、そのような実践仲間を広げることの必要性がますます強まっています。
とりわけ今、「もっとも苦しい立場に置かれている仲間を軸とする職場集団づくり」と「『K』を軸とする学級集団づくり・学校づくり」のしたたかな展開が、京生研の追求テーマ(少数者の側に立つ、抑圧される人の側に立つ、民主主義を根源的に追求する)の必然的帰結として求められているのではないでしょうか。

 93年京都大会の現地実行委員会スローガンとして、私たちは「重厚長大」を掲げました。
 これは、その数年前から全生研の主流となり始めた「ゆるやかな集団づくり」「集団づくりの新しい展開」に戸惑いを感じつつ、その新しい流れの社会的底流であった「軽薄短小」志向に対置する意図を込めていました。また、京生研としての主体性の表現でもありました。

 18年間の研究と実践の蓄積は、まさに「重厚」なものです。それは一言すれば「重い課題を抱えた子どもを軸とする集団づくり」の研究と実践の蓄積と言えるでしょう。この研究・実践を貫くためには、このテーマこそが真に民主的な社会を実現する道だという確信が必要です。そして、この確信は、歴史の進歩性と世界の民衆のちからに依拠するという「長大」な見通しに支えられているのです。

 全生研第55回全国大会京都開催にあたって、私たちは、かつての「重厚長大」を上記のように再定義した上で、これを基底において持続しながらも、私たちを取りまく教育情勢、その中での大会開催の意義を明らかにし、新たな課題に向かっていく必要があります。それら新たな課題に挑む原動力には、若い仲間のエネルギーと斬新なアイディア・行動力こそがふさわしいのです。これらに立ち向かう中で培われるちからが、全生研/京生研の明日の灯となる、そう確信します。

 さて、今回の京都大会は、龍谷大学深草キャンパス(予定)をメイン会場にした、都市型の大会です。すべての分科会を同一会場で行える、快適な学習環境を用意します。

 また来年、同日程で全国高校生活指導研究協議会(高生研)が同じ京都で全国大会を開催します。全生研と高生研、この二つの民間教育団体が、コラボレーションできるような企画も検討中です。
 昨年3月、高生研と全生研近畿ブロックは「高生研&全生研KINKI教育ゼミナール2011」を共同開催し、シンポジウム、分科会、講座へ200名の参加者を集めて大成功させました。この取り組みで小・中・高の実践家が実践の交流をすることが、現在の厳しい教育状況を切りひらくちからになるという確信を私たちは深めました。その流れで実現しようと考えたものです。

 全国から1000人の仲間を集め、学習を深めで混迷する教育状況を打開するちからを身につけようと大いに学びます。京生研は現地実行委員会として、その成功のために全力で頑張ります。毎日の仕事で心身共にくたくたになる私たちの日々です。その中であえて全国大会を引き受けてやろうと考えた私たち京生研には、確かな信念があります。それは、大会の企画・運営をやっていく中で、さまざまな実務力や調整力、そして企画力が必ず身につく。文化性の高い出し物を見られる。その作り方を実体験できる。「仲間と共に」大会を作り上げる経験は、自分の教室での「仲間と共に」活動できる子どもの育成に必ずつながっていく、ということです。

 私たちが長年学んできたこの京生研。今、全生研のなかでももっともパワーのある支部の一つです。そのパワーを全国のために、何より私たち自身のちからとするために、これから1年、全国大会成功に向けて結集し、大きな成果を作り上げましょう! 

全生研第55回全国大会(京都大会)

とき:2013年8月3日(土)〜8月5日(月)

会場:龍谷大学深草キャンパス(予定)